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子どもの育ちにおける「遊び」の重要性とは?児童精神科訪問看護事業所の取り組み
人間にとって遊びはきわめて重要ですが、現代では忘れられがちかもしれません。
例えば不登校の子どもは、学習や人間関係につまずいていたとしても、遊びに取り組むことで社会性を獲得し、また社会に出て行けるようになることもあります。そもそも人間は社会的な動物であり、単独では生きていけない存在です。遊びは子どもの成長においてきわめて重要な役割を果たしているのです。
専門職による遊びの支援と看護師・作業療法士の役割

医療現場における各専門職は、それぞれの特性を活かした形で子どもの遊びに関わっています。看護師は子どものペースに合わせて遊ぶことが得意で、子どもの好みや嫌悪を早期に理解する能力に長けていることがあります。また、人を看るという看護独自の視点から、身体だけでなく精神・社会・文化的な側面から総合的にアセスメントし、必要なケアを判断します。
作業療法士もまた、子どものペースに合わせて遊びに取り組みながら、遊べない理由の評価や、体の動かし方、姿勢保持の問題など、より構造的な理解と対応が可能です。医師は子どもと適切な距離感を保ちながら、病棟全体を見渡す視点を持ち、子どもの側に立ちすぎない立場を取ることも求められます。特に子どもの成長発達のために必要な現実的な判断を行い、病棟スタッフとの関係調整も担っています。
医療現場における各専門職の役割について、医師で訪問看護ステーション・ナンナル代表の岡琢哉は「医師と比べると、看護師や作業療法士は子どものペースに合わせて遊ぶことが得意で、子どもの好みや嫌悪を早期に理解する能力に長けている傾向がある」と考えています。
看護師・作業療法士が遊びを用いる目的
ナンナルでは、下記の目的で遊びを用いています。
看護師として遊びを用いる目的
- 他人との楽しい時間の共有
- リラックス
- 安心できる関係性の構築
- 気分転換
- 年齢に応じた発達
- 主体性
- 協調性
- 感情や情動(負けた時のイラつきや感情の切り替え)
- 集中力
- 興味の幅
- 自己肯定感
- 他者受容
- 意思表示の機会(ゲームの拒否、選択、戦略)
- 伝える意思と能力(語彙力や表現力など)
- 思考力
- 創造性(ルールの工夫など)
- 運動機能の評価
- 他者(家族含む)との関係性
- 直接聞きにくい情報収集をする機会
引用文献:『精神看護 第26巻 第5号』(2023年9月発行)
まず、他人との楽しい時間の共有やリラックス、安心できる関係性の構築といった基本的な目的があります。これは子どもの心理的安全性を確保する上で極めて重要です。さらに、気分転換や年齢に応じた発達支援も重要な目的として位置づけられています。
子どもの主体性や協調性の育成も、遊びを通じた支援の重要な側面です。特に、負けた時のイラつきや感情の切り替えといった感情や情動の制御、集中力の向上、興味の幅の拡大などが重要な目標として設定されています。
自己肯定感の育成や他者受容の促進も、遊びを通じて達成される重要な目的です。ゲームの拒否、選択、戦略といった意思表示の機会を提供し、語彙力や表現力などの伝える能力の向上も図っています。
思考力や創造性の発達支援も重要な目的です。特にルールの工夫など、子ども自身が新しいアイデアを生み出す機会を提供しています。また、運動機能の評価や、家族を含む他者との関係性の観察、直接聞きにくい情報収集の機会としても遊びは活用されています。
ナンナルの看護師・田村「家族以外誰とも話してないようなお子さんが、いきなり集団に入るのは本当に難しいのです。家に行って一緒に遊んだり、お話したりしてきっかけを作っていくことで、外に向かっていく力の基礎の基礎のところができるの かなと思います」
ナンナルの作業療法士・内田「子どもたちの興味のあるものに乗っかると、関係性を作りやすいです。その中で、自然な会話から本人の思いを引き出すことができます。そういう意味でも、遊びは有効だと感じています」

チーム医療における遊び支援の実際
遊びを通じた支援は、チーム医療の文脈の中で理解される必要があります。岡は「医師、看護師、作業療法士それぞれの専門性を活かしながら、全体として完成される医療という視点が重要となる」と強調しています。
病院と訪問看護では関わり方に大きな違いがあります。病院ではチームでの関わりが明確である一方、訪問看護では単独での関わりが多くなる傾向にあります。このため、複数の専門職が話し合う時間の確保が現場での重要な課題となっています。このように、子どもの遊びを支援する際には、各専門職の強みを活かしながら、チームとして包括的なアプローチを行うことが求められています。
人間にとっての遊びの重要性

強度行動障害を持つ子どもたちが、いわゆる「問題行動」を行う背景について、岡は「何もしていない時間に耐えられないという特徴がある」と指摘しています。壁に頭を打ち付けたり、大声を出したり、ぐるぐる回ったりする行動は、不快を避け快を得るための手段として理解できます。つまりこれらは「遊び」の一種とも言えるわけです。
感覚遊びは、重度自閉症の子どもでも可能な遊びの原初的な形態として観察されます。岡医師は「繰り返しの音や刺激による遊びは、快感を得るための基本的な形態として重要な意味を持っている」と述べています。
そうした感覚や感情を知り、表現する方法として、遊びは人間にとってきわめて重要なのです。「問題行動」と言われる行動にも理由や背景があります。遊びを取り入れることによって、より適切なケアを実現しやすくなります。
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監修:岡琢哉(児童精神科医。児童精神科の訪問看護ステーション・ナンナル代表)
