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不登校の子どもと家庭に訪問看護ができること
不登校の子どもたちが増えています。従来の支援方法だけでは限界があるなか、注目されているのが、訪問看護による不登校支援です。不登校支援は、再登校支援とは限りません。
本記事では、不登校の現状と課題、訪問看護が提供できる支援方法、そしてその効果的な活用法について詳しく解説します。
不登校の子どもたちの現状と課題

近年、不登校児童・生徒の数は増加の一途をたどっています。文部科学省の調査によると、令和5年度に不登校の状態にある小中学生の数は34万人を超え、11年連続で増加し過去最多となりました。この背景には、学校環境の変化、家庭環境の多様化、SNSの普及による人間関係の複雑化など、さまざまな社会的要因が存在します。
不登校は、単に学校に行けないという問題だけではありません。長期化すると、自尊心の低下、学習環境の不足、社会性を学ぶ状況の不足など、子どもたちの心身の成長に影響を与えます。さらに、家族の精神的負担や経済的負担も無視できません。
従来の不登校支援は、主に学校や教育委員会が中心となって行われてきました。しかし、画一的な対応では個々の子どもたちのニーズに応えきれないケースも多く、その限界が指摘されています。また、医療機関での支援も行われていますが、予約の困難さによる通院のハードルの高さや、生活環境への介入の難しさなどの課題があります。
このような状況下で、子どもたちの生活の場に直接アプローチできる訪問看護が、新たな支援の可能性として注目されているのです。
ナンナルは、こうした背景から医師が立ち上げた訪問看護ステーションです。
内部リンク:1周年記念・代表インタビュー>「あいだ」をつなぐ存在を目指して
不登校の多様な原因と適切な対応の重要性
不登校の原因は、一人ひとりの子どもによって異なります。主な原因としては、発達障害やその二次障害、いじめや人間関係のトラブル、学校環境の問題、家庭環境の変化、身体的な問題などがあります。
ただし、これらの原因は複合的に絡み合っていることも多く、一つの要因だけを取り出して対応しても効果が限られます。そのため、個々の状況を丁寧に聞き取り、適切な支援方法を選択することが重要です。医療的介入が必要なケースもあれば、環境調整だけで改善を見込めるケースもあります。
例えば、発達障害や起立性調節障害が背景にある場合は、薬物療法を含めた医療的アプローチが効果的となることもあります。一方、いじめや学校環境が主な原因である場合は、当然ながら環境の改善も必要です。
このように、不登校の原因と対応は多様であり、一人ひとりに合わせた柔軟な支援が求められます。そこで、医療的視点と生活支援の視点を併せ持つ訪問看護が、新たな支援の選択肢として注目されているのです。

訪問看護が不登校支援に有効な理由
訪問看護が不登校支援に有効である理由は、主に以下の点にあります。
- 普段住んでいる家庭での支援
訪問看護は、子どもたちが普段住んでいる家庭で行われます。学校や病院といった特別な場所ではなく、日常生活の中で支援を受けられることで、子どもたちの実態に即した支援がしやすくなります。 - 柔軟な時間設定
精神科や心療内科の診療では、診察時間が短くなってしまうこともありますが、訪問看護では30分以上の時間を取り、専門職が子どもやその家族と関わることができます。 - 「遊び」を通じた関わり
訪問看護の看護師や作業療法士は、医療的ケアだけでなく、遊びやコミュニケーションを通じて子どもとの関係性を築きます。これにより、自然なかたちで子どもの心身の状態を把握し、適切な支援につなげることができます。 - 医療的視点と生活支援の統合
訪問看護の看護師や作業療法士は、医療的な知識と生活支援のスキルを併せ持っています。そのため、身体的な不調や精神的な問題を見逃さず、同時に日常生活の改善にもアプローチできます。 - 家族全体へのサポート
訪問看護は、子どもだけでなく家族全体を支援の対象とします。保護者の悩みにも寄り添い、関わることで、家庭全体の環境改善を目指します。 - 多職種連携のハブ機能
訪問看護の看護師や作業療法士は、医療機関、学校、その他の福祉サービスなど、さまざまな機関との連携を図る役割も果たします。子どもを中心とした包括的な支援体制を構築していきます。
これらの特徴により、訪問看護は従来の不登校支援では対応しきれなかった部分をカバーし、より効果的な支援を提供することができるのです。
ナンナルの看護師・校條「不登校の時期を楽しくないものには、あまりしたくないなと思っています。 不登校の時期を休息ととらえて、『まずは楽しく過ごそうね』と伝えています」
ナンナルの看護師・田村「『こんな学校生活を送りたい』『こんな活動に参加したい』と、本人が夢や希望を持っている場合があります。ただ、やはり不安もあり、勇気が必要になります。だから、無理にやらせることはしません。本人とよく接して、話を聞きながら不安は取り除いていって、ここぞというタイミングで背中を押す。日頃の訪問看護を通してコミュニケーションが取れていて、配慮の方向性も見えていると、『今なら大丈夫かもしれない』『学校以外のこの集団ならいけるかもしれない』と見えてくるときがあります」
訪問看護での具体的な関わり方

訪問看護の看護師や作業療法士は、不登校の子どもたちに対して以下のようなアプローチを行います。
- 信頼関係の構築
初期の段階では、子どもとの信頼関係づくりに重点を置きます。無理に学校のことを話題にせず、子どもの興味や関心に寄り添いながら、ゆっくりと関係性を築いていきます。時間をかけられることは、訪問看護による支援の強みです。 - 生活リズムの改善
不登校が長期化すると、昼夜逆転などの生活リズムの乱れが生じることがあります。訪問看護の看護師や作業療法士は、少しずつ起床時間を早めるなど、生活リズムの改善をサポートします。 - 身体的ケア
起立性調節障害など、身体的なケアが必要な場合には、医師の指導に基づきながら症状の緩和や日常生活の工夫について指導します。 - 社会性の育成
家族以外の大人として関わることを通じて、コミュニケーション能力や社会性を育みます。また、外出の機会を少しずつ増やすなど、社会との接点を模索していきます。 - 家族支援
保護者の悩みにも耳を傾け、相談に乗ります。また、家族間のコミュニケーションに問題があれば、改善する方法を一緒に考えます。 - 学校などとの連携
本人の要望があれば、子どもの状況を学校に伝え、再登校に向けた環境調整を提案します。例えば、別室登校の準備や、教師の関わり方についてアドバイスを行います。
これらは、多様な支援のうちの一部です。訪問看護の看護師や作業療法士は子どもの状況に応じて多面的なアプローチを行い、段階的に社会との接点づくりを行っていきます。
ナンナルの作業療法士・内田「家族支援では、自身の不登校経験も踏まえて、再登校を目指すだけではなく、しっかり休むことの重要性や受け止めること、好きなことを一緒にやる時間をつくることの大切さなどを話しています。
実は、一時期お子さん本人に会えなくなってしまっていたケースでは、保護者の方にこうしたことをお伝えしていたところ、最近になって、本人が進路相談に一緒に行けるようになったりと、動き出した様子が見えてきたこともあります」
不登校支援における連携の重要性

不登校支援を効果的に行うためには、訪問看護だけでなく、さまざまな専門機関や支援者との連携が不可欠です。多職種連携によって、子どもを多角的に支援し、包括的なケアを提供することができます。
- 学校
担任教師や特別支援学級・通級指導教室の教員などと情報を共有し、学校での受け入れに向けた環境調整を支援します。
子どもの特性や感覚の過敏さ、学習障害などの困り感を、家族が学校に伝えて適切な配慮につなげられるよう、本人のペースを大切にしながら、段階的な復学に向けた後押しをしていきます。 - 医療機関
主治医と連携し、子どもの成長発達、発達障害に起因した症状や精神症状、薬物療法の効果などについて情報を共有します。身体的・精神的な健康管理を、協力して行います - 福祉サービス
必要に応じて、放課後等デイサービスなどとも連携し、子どもの居場所や学習機会の確保に繋がるようサポートします。 - 児童相談所
家庭環境に問題がある場合など、必要に応じて児童相談所と連携し、適切な保護や支援につなげます。 - 地域のサポート団体
不登校の子どもや家族のための自助会など、地域の支援団体と連携し、サポートを受けやすくなる環境を一緒に模索します。
このような多職種連携により、子どもを中心とした包括的な支援体制を構築することができます。訪問看護の看護師や作業療法士は、これらの連携を推進し、子どもと家族、そして各支援機関をつなぐ重要な役割を果たします。重要なのは、子どもが再登校することがゴールとは限らないことです。ときには休息期間と捉え、まずは遊びを通じてリカバリーをしていくことが重要な時期もあります。子ども自身や家族と共に、そのときどきに最適な支援を模索し、子どもの生き方に伴走していくのが、訪問看護です。
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