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訪問看護における家族支援の重要性と実践
訪問看護における家族支援は、利用者の回復や生活の質の向上に不可欠な要素です。家族全体をひとつのユニットとして捉え、支援することの重要性が、近年ますます認識されています。特に、訪問看護では利用者の生活環境に直接介入し、家族との関係性を把握できるため、より効果的な支援がしやすくなります。
この記事では、家族支援の方法や多職種連携の重要性、そして実際の事例を紹介しながら、訪問看護の意義や役割、その仕事に就く魅力について詳しく解説していきます。
家族支援の学術的定義と重要性
家族看護学の第一人者であるフリードマン(1993)は、家族を「絆を共有し、情緒的な親密 さによって互いに結びついた、しかも、家族であると自覚している、2人以上の成員である」と定義しています。
訪問看護では、システムとしての家族全体を支援の対象として看護を行うことの重要性が認識されています。訪問看護において家族支援を行うことで、患者の回復を促進し、家族全体の健康と幸福を向上させられる可能性があります。
例えば、精神障害のある保護者と暮らす子どもへの支援では、子どもだけを見ていても解決に至らないこともあります。家族全体を視野に入れ、子どものメンタルヘルスのケアだけでなく、保護者とのコミュニケーションも同時に行うことで、家族全体の生活の質が向上します。
多職種連携による包括的な家族支援
家族支援を効果的に行うためには、多職種連携が不可欠です。以下に、様々な関係者との連携方法について説明します。
- 医師 治療方針の確認や症状の報告を行い、適切な医療的支援につなげます。
- 学校 子どもの学習状況や行動の変化について情報を共有し、適切な支援につなげます。
- 保健師 地域の健康課題や社会資源について情報交換し、包括的な支援を行います。
- 児童相談所 虐待のリスクがある場合などに連携し、早期介入を図る場合があります。
多職種連携を円滑に進めるためには、定期的なケース会議の開催や、ICTを活用した情報共有システムの構築も効果的です。

訪問看護ならではの家族支援事例
ここでは、訪問看護で行う家族支援の具体的な事例を紹介します。
【事例】不登校の子どもと父親
この事例では、最初のうち本人に会えていたが、ある時期から本人に会えなくなってしまった。そこで、家族支援として父親の相談に対応していた。
ナンナルの作業療法士「自身の不登校経験も踏まえて、再登校を目指すだけではなく『しっかり休むことの重要性』や『受け止める』こと、『好きなことを一緒にやる時間をつくる』ことの大切さなどを伝えています。実は、一時期お子さんに会えなくなってしまっていたのですが、お父さんにこうしたことをお伝えしていたところ、本人が進路相談に一緒に行けるようになるなど、動き出した様子が見えました」
このように、病棟看護では難しいような、生活に密着した継続的な支援を行うことができます。

看護師の個人的経験を活かした家族支援
訪問看護での家族支援では、看護師のこれまでのさまざまな経験が活きます。もちろん必須ではありませんが、例として下記のようなものが挙げられます。
- アニメやゲームの知識 アニメやゲームが好きな子どもとのコミュニケーションを円滑にする助けになります。
- 子育て経験 家族の発達段階の理解や子どもへの接し方について、実践経験からのアドバイスを求められることもあります。
- その他の趣味や特技 子どもだけでなく、家族とのコミュニケーションにおいても、看護師の趣味や特技が活かせる場合があります。
このように、専門知識だけでなく、個人的な経験や興味が家族支援に活かせることは、訪問看護の魅力の一つです。看護師が全人的に関わっていくことが有効になるのです。
ナンナルの看護師「困難を抱えて集団で過ごしづらいお子さんであれば、訪問看護の時間をまた1歩踏み出すまでの充電期間として、楽しく過ごす時間に使いたいなと思っています。
それは親御さんも同じで、『この期間があったから良かったな』とあとから思えるような支援を一緒に考えます。家族だけで考えていてはそうした思いにはなりにくいので、私たちの介入が有効になりえます。
こういう風に行動してほしいけど、苦しそうだからこれ以上言えない。といって、何も言わなくてもプレッシャーになる……。そんな行き詰まった空間に、『それでいいんだよ』という人が入るだけでも、風通しは変わってくるのかなと思います」

作業療法士による家族支援の可能性
家族支援において、看護師のほかに、作業療法士の存在も重要です。作業療法士の視点が入ることで、より包括的な家族支援が可能になります。
以下の動画では、作業療法士の家族支援に関する知見を紹介しています。ぜひご覧ください。
参考リンク:作業療法士の家族支援【カケミチラジオ】
この動画では、作業療法士の多様な役割や、家族支援における情報共有の重要性などを議論しました。例えば、子どもの日常生活動作の改善や、家族全体の生活リズムの調整など、作業療法士ならではの視点を紹介しています。
これらの知見を訪問看護に活かすことで、より質の高い家族支援を提供できます。例えば、看護師と作業療法士が連携して家族の生活環境を評価し、必要な福祉用具の導入や住環境の調整を行うことで、家族全体の生活の質を向上させることができます。
内部リンク:「児童精神科訪問看護における作業療法士の存在価値」
ナンナルで働く看護師・作業療法士を募集しています
この記事では、訪問看護における家族支援の重要性と実践について解説してきました。これらのスキルを存分に活かせる場所が、ナンナルです。
ナンナルは、児童精神科の訪問看護に特化した事業所です。そのため、家族支援の重要性がより高く、やりがいを感じられる職場環境となっています。家族支援に興味がある看護師の方は、ぜひ一度お問い合わせください。すぐに転職することのできない状況でもOKです。詳細な募集情報や応募方法については、以下のリンクをご覧ください。
参考文献
木下由美子 (2002). 「家族を看護する」. 大分看護科学研究, 3(2), 55-57.
渡邉直・廣川聖子 (2023). 「精神疾患を抱える親と暮らす児童期の子どもへの訪問看護師による支援とその意識」. The Journal of Japan Academy of Health Sciences, 25(4), 183-192.