インタビュー

病院で「これしかできない」と感じていた子どもが、生活の場では「こんなにもできるんだ」と新たな可能性を発見しています。

現在担当している仕事について教えてください

現在、私は作業療法士として訪問看護の仕事を担当しています。訪問では、約30分間、遊びを中心にした活動を通じて利用者さんと関わっています。この時間を利用して、利用者とご家族が目指す目標に向けての支援を行っています。

子どもたちと成人を対象とした作業療法の大きな違いの一つは、子どもたちの方が自分の思いを言葉で表現するのが難しい点です。そのため、子どもたちが話しやすい関係性を築き、効果的に意見を引き出す方法に特に注意を払いながら関わっています。
作業療法士として、遊びや日常の活動を通じての介入は、子どもたちが自分の思いを言葉にする手助けをすることがあります。このアプローチは、子どもたちの心に寄り添い、彼らの言葉での表現を促す作業療法士としての強みを活かした方法だと感じています。

ナンナルを志望した理由は?

ナンナルで働きたいと思った理由は、私が以前精神科の病院で児童思春期病棟に関わっていた経験に起因します。その時は集団での関わりが中心でしたが、訪問看護における1対1の関わりに強い興味を持っていました。縁あってナンナルを紹介され、ここで働くことになりました。

集団での関わりには、その独自の良さやメリットがあります。しかし、1対1の関わりによって初めて実現可能なことも多いと考えています。個々のニーズに合わせた細やかなサポートや、個人の感情や思いをじっくりと理解する深い関係性の構築が、1対1の訪問看護の特徴であり、私がこの分野に興味を持った主な理由です。

訪問看護を志望したきっかけを教えてください

訪問看護を志望したきっかけについては、病院での勤務経験が大きく影響しています。病院では、患者さんと関わる期間が限られており、退院後の生活や日常生活、家族や友人との関わり方について深く支援する機会が少ないと感じていました。この限られた関わりの中で、より広い視野を持ち、患者さんの普段の生活や社会での関わりをサポートすることにやりがいを感じるようになりました。

具体的には、直前の3年間は児童思春期病棟での仕事に携わり、その前の4年間はアルコール依存症患者や一般の精神科病棟での勤務を経験しました。これらの経験から、病院の枠を超えて患者さん一人ひとりのより良い生活を支援することの重要性を感じ、訪問看護への転向を決意しました。

入社前のイメージとギャップはありますか?

入社前に持っていたイメージと実際のギャップについては、いくつかの点で感じるところがありました。とくに、病院にいるときの子どもたちに対しては「こんなことしかできないんだ」と能力について限定的な印象を抱くことが多かったのですが、訪問看護において彼らの生活の場で接することで、「こんなこともできるんだ」とか「生活の場であればこんなに多くのことができるんだ」という彼らの可能性を新たに発見しました。

また、訪問看護では家族の困りごとや悩みをダイレクトに聞く機会が増えました。これにより、患者さんだけではなく、家族を含めたケアの重要性を強く感じるようになりました。この経験は、病院勤務時代とは異なる深い理解とアプローチを必要とすることを教えてくれました。

一番印象に残っているエピソードを教えてください

一番印象に残っているエピソードは二つあります。まず、主治医と相談して外出の練習をしていた際に、お母さんへの誕生日プレゼントとしてドーナツと花を買いたいと言ってきたお子さんがいました。その子から普段は表に出さない親への感謝の気持ちを聞くことができ、その子の持つ純粋な優しさや、家族への愛情を感じることができました。病院の中で行う治療的な側面とは違う、周囲との関係性や生活の中で出てくる気持ちや行動に触れられた気がして嬉しかったです。

もう一つのエピソードは、長い間家に引きこもっていたお子さんが、全寮制の学校への進学が決まったことです。この子は家族関係において難しい部分があり、楽しい学校生活を送ることができるかどうか想像もつかない状態でした。しかし、全寮制の学校に進学することが決まり、新しい生活への期待感を抱いている姿を見て、ここに至るまでの支援に関われたことに対するやり甲斐を感じました。

現在の目標は何ですか?

現在の目標は、訪問看護の分野での知識とスキルを深めることです。訪問看護に関わり始めてまだ1年であり、この分野にはまだ学ぶべきことが多いと感じています。病院勤務時は、医師や他の看護師と協力して患者さんのケアを行うことができましたが、訪問看護では基本的に一人で患者さんのもとへ行き、看護を提供するため、より広範な看護的知識が求められます。そのため、訪問看護における専門的な知識をさらに増やし、一人でも質の高いケアを提供できるようになることを目指しています。

さいごに、将来の目標や夢を教えてください

将来の目標は、児童・思春期を対象とした作業療法の分野で、現場のスペシャリストになることです。この分野ではまだまだ専門性を持った作業療法士が少ないため、私は児童・思春期の患者さんに特化した知識とスキルを深め、彼らの生活の質を向上させるための支援を提供できる専門家になりたいと考えています。子どもたちが直面するさまざまな課題に対応できるよう、専門的な知識を積極的に学び、経験を積んでいきたいです。

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